F6F-5N Hellcat Night Fighter

Hasegawa 1/48



VMF(N)-542のBruce Porter少佐の乗機"Black Death"。Porter少佐は1945年6月15日の夜間パトロールミッションで日本機2機を撃墜し、それまでのコルセアによる昼間戦闘のスコア3機と合わせてエースになった。

・・・真っ暗闇の中、パトロールコースを飛んでいると、突然、地上レーダー管制官の興奮した声が無線に飛び込んで来た。
「ハンディマンよりトパーズ・ワンへ、距離30マイル・10時方向にボギー発見。高度1万3千フィート、170ノットで進んでいる。」
アドレナリンが高まってきた。相手はこちらよりも3千フィート上を急速に近づいてくる。私はドロップタンクを捨ててスロットルを全開にし、急上昇に移った。

「15マイル・・・10マイル・・・6マイル・・・」 ハンディマンは刻々と縮まる目標との距離を伝えてくる。



「ハンディマンよりトパーズ・ワンへ。目標は11時方向に3マイル、1-1-0方向に進んでいる。もうすぐそっちのスクリーンに捉えられるはずだ。ゴー!」

私は自機のコースを変え、声を出して自分自身に言い聞かせた。「落ち着くんだBruce。いよいよだぞ」

ターンを終えたところで、レーダースクリーンのスイッチを入れた。(レーダー自体はオンになっていたが、暗視能力を保つために目標間近に迫るまでスクリーンは点灯しないことにしているのだ。)私の目はオレンジ色のレーダースコープにくぎづけになった。まだ何も現れない。われながら落ち着いたものだ。計器とレーダーの指示通りに飛ぶまでのことだ。



ビンゴ!スコープの一番上の端に、小さな輝点が現れた。ハンディマンの誘導はどんぴしゃだ。

「トパーズ・ワンよりハンディマンへ。接敵!」

落ち着いているつもりが、意に反して興奮で声がうわずってしまった。輝点はだんだん大きく、かつスコープの中心に近づいてくる。敵はこちらが忍び寄っているとはつゆ知らず、まん前をまっすぐ飛んでいるようだ。

敵の相対高度を表す第2の輝点が急に見え始めてきた。向こうはBlack Deathよりもわずかに上にいるようだ。ちらっと何かが見えた気がしたので、再度スコープを確認してからそれらしき方向へじっと目を凝らす。一瞬の後、私は敵機の排気炎を捉えていた。350フィート、射程内だ。確認のためさらに近づいてみると、日本陸軍の屠龍であることがわかった。

私は若干高度を取り、加速をつけて上方から襲いかかった。 300フィートまで近づいたところで、すべての機銃の引き金を引いた。12.7mmがうなりを上げる一方で、20mmは「ボン・・・ボン・・・ボン」と、驚くほどゆっくりと等間隔に発射される。弾切れが心配なので20mmのみ引き金をゆるめて、12.7mmを撃ち続けた。 数秒後、敵機は燃えながら海中に没した。

「ハンディマンよりトパーズ・ワンへ。2118時に敵はこちらのスコープから消えた。でかしたぞ。」


製作記はこちら