1970
ライブバンドとして再出発


『(Untitled)』

12s.gRodger McGuinn
gClarence White
bSkip Battin
dGene Parsons




ベーシストがジョン・ヨークからスキップ・バッティンに交替し、新しいユニット構成に。この顔ぶれがバーズ史上、もっとも長続きした。約3年、アルバム3枚を発表する。演奏面でも申し分なく、ハードスケジュールのライブを積極的にこなし、深刻な財政難から脱出する。安定期といえよう。
初の2枚組アルバム『(Untitled)』はライブ録音とスタジオ録音を1枚ずつ組み合わせたものだ(CDでは1枚に収録)。ライブ盤で聴けるロジャーの声はガラガラに潰れているが、それがかえっていい味になっていたりする。ハウリングを起こしていたり、ボリュウムのレベルが急に下がったりと、録音の質はあまりよくないが、迫力はある。クラレンスのストリング・ベンダーは、むっちゃ泥臭く疾走しまくりだ。スタジオ録音盤ではリトルフィートのローウェル・ジョージが録音した曲を取り上げたり、グラム・パーソンズがバックに参加したり、聴きどころの多いアルバムとなった。最後のスキップ作『Well Come Back Home』は「南無妙法蓮華経」のリフレインが不気味。全体の完成度はかなり高く、傑作と言えるのではないでしょうか。
『(Untitled)』というタイトルは、メンバーが「Untitled Yet(タイトルはまだ決めてない)」と伝えたのを、コロンビアの担当者が勘違いしたとのことだが、結果的におもしろいタイトルになった。『Phenix』や『First Byrds』といったタイトルを考えていたらしいが、これじゃ少し平凡だったよね。

10月/シングル『Chestnut Mare』発表。サビ以外はセリフの語りで構成された曲。海援隊の『母に捧げるバラード』も、そういう構成でしたね、そういえば。なお「チェスナット・メア」とは、栗毛の馬のこと。

この当時ロジャーは、ジャック・レヴィという演出家のミュージカル『Gene Tryp(なんと読むのでしょう。トリップと書く人もいればトライプと表記する文献もある)』への楽曲提供に熱中していた。グリーグ/イプセンの戯曲『ペール・ギュント(Peer Gynt。アナグラムがGene Tryp)』をロック・ミュージカル化したものだそうだが、上演までには至らず、バーズのアルバム中に曲だけが残った。





1971
最後の羽ばたき


『Byrdmaniax』


12s.gRodger McGuinn
gClarence White
bSkip Battin
dGene Parsons




『Father Along』

12s.gRodger McGuinn
gClarence White
bSkip Battin
dGene Parsons




8月/シングル『Glory, Glory』

11月/シングル『America's Great National Pastime』これがバーズとして最後のシングル。

6月に発表したアルバム『Byrdmaniax』は、テリー・メルチャーのオーバー・プロデュースによる失敗作とされているが、 そんなに捨てたものではない。気になると言えば、ヘヴィメタルチックな ジャケットのデザインと、のんびりしたカントリーポップやボードビルっぽい曲が続く 中身とのギャップが激しすぎるくらい。しかしバーズの面々はむちゃくちゃ 不満だったらしく、11月発売の『Father Along』は初めてメンバーのセルフ・プロデュースによって製作された。
お互いに持ち寄った曲を平等に収録するスタイルは、えてしてアルバムとしての統一感を欠く傾向にあるが、ぼくの印象では、『Father Along』に関してはそれなりにまとまっていると思う。音的には荒削りだとするレコード評もあることは知っている。でも、それがかえっていかにもバンドっぽい音でよいと誉めることもできるのではないか。

●スティーブン・スティルスのマナサスにクリス・ヒルマンが参加。

●ジーン・クラーク、俗に『White Light』として知られるフォーク調のアルバム『Gene Clark』発表。ひどく地味な内容だがヨーロッパではなかなかのセールスを記録した。





1972〜1973
また会いましょう


『Father Along』のレコーディング中、ロジャーはオリジナルメンバーによるバーズ再結成企画に乗っていた。それが現メンバーの反発を招き、まずジーン・パーソンズが脱退。ジョン・ゲアリンを加えたものの長続きしなかった。

●イーグルスがイギリスでデビュー盤『Eagles』を製作。





『Byrds』(reuion)

12s.gRodger McGuinn
gDavid Crosby
g,perGene Clark
b,gChris Hillman
dMichael Clarke




3月に発表した再結成アルバム『Byrds』は、新興レーベルのアサイラムが話題づくりをねらって企画したらしい。70〜71年にかけて録音されたジーンのアルバム『Roadmaster』のセッションにおいて、5人がレコーディングスタジオに顔をそろえていたいきさつがあり、再結成を勢いづけたのだろう。しかし、アルバムを聴く限り、どうもロジャーの熱意があまり感じられない。プロデュースをデビッドに任せてしまっているし、曲の提供もたった2曲である。その分、ジーンやデビッド、クリスが張り切って埋め合わせしているものの、別テイクをつなぎ合わせた境目がわかってしまうなど、エンジニアリングもイマイチで、どうも全体に仕上がりの密度が薄い。

本家(どっちが本家だがわからんが)バーズでは、スキップ・バッティンが脱退。残ったクラレンスに加えてクリス・ヒルマンを呼び戻し、ジョー・ララにドラムを叩かせてニューヨーク公演をおこなう。これでバーズとしての活動にピリオドが打たれる。