1964
新しい時代の予感





ソングライターであり、チャド・ミッチェル・トリオやライムライターズなどのサポートミュージシャンだったジム・マッギンは、ロサンゼルスのクラブ「トルバドール」に出演した際、ジーン・クラークとデビッド・クロスビーという2人のパッとしないフォークシンガーと知り合う。ビートルズの出現に触発された彼らは、これからの音楽はロックだと相談がまとまり、グループを結成、ジェットセットと名乗る。具合よくワールド・パシフィック・レコードのプロデューサーであるジム・ディクスンという後見人ができ、彼の紹介でマンドリン奏者のクリス・ヒルマンがやってくる。またデビッドとは顔見知りだった縁で、パーカッショニストのマイケル・クラークも加入する。

ジム・ディクソンのもとでデモテープづくりに励む。その際レコーディングされた『Mr. Tambourine Man』は、コロンビアから発売された一般によく知られるバージョンとはまったくおもむきが異なる。ギターの音はメリハリがなく、ボーカルも自信なげ。なんというか、「これはダメだろう」と思わせる曲調だ。(ただしこれはトゥギャザー・レーベルの『Preflyte』に収録されたバージョンの話で、ライノ・レーベルから出た同じデモレコーディング集『In The Biginning』の別テイク版は聴いてませんです)

10月/ビーフィーターズ名義でエレクトラ・レコードよりシングル『Please Let Me Love You』をリリース。まったく売れなかった。







1965
フォークロック・サウンドの誕生



『Mr.Tambourine Man』


12s.gJim McGuinn
gDavid Crosby
tam.Gene Clark
bChris Hillman
dMichael Clarke



エレクトラからのデビューに失敗したジェットセット=ビーフィーターズは、コロンビア(CBS)と契約。当時コロンビアは西海岸のロックミュージック・マーケットへの本格進出を目論んでおり、テリー・メルチャーをプロデューサーとして迎え入れていた。そうした戦略にうまく合致するバンドとして、ビーフィーターズは恰好の素材だった。バンド名をバーズに改め、再デビューする。

5月/実質的デビューシングル『Mr.Tambourine Man』、全米および全英チャート1位を獲得する大ヒット。ジムを除くメンバーはエレクトリック楽器の演奏経験がほとんどないため、レコーディングにはリオン・ラッセル、ラリー・ネクテルなどスタジオミュージシャンが起用された。

6月/ファーストアルバム『Mr.Tambourine Man』発表。プロデュースはテリー・メルチャー。バーズのメンバーは実のところビートルズ調のポップスをやりたがっていて、このカバー曲をシングルとして発表するのもしぶしぶだったらしい。が、当たっちゃったものはしかたがない。セカンドシングル『All I Reary Want To Do』も、ジムのボーカルをフューチャーしたディランのカバーである。
しかしアルバム中、もっともキャッチーなチューンはジーン作の『I'll Feel A Whole Lot Better』だろう。シングルのA面にカッティングされるくらいの魅力はあると思うのだが、あまりにビートルズ調のテイストがその妨げになったようだ。

●『Chimes Of Freedom』イントロのギターリフをイタダいて、ジョージ・ハリスンが『If I Needed Someone』をつくる。多重コーラスの使い方はそっくりだ。ビートルズがこの手のパロディ、イタズラの名手であることは周知の通りです。

ビートルズに対するアメリカの回答と言われたバーズだが、イギリスの4人組とアメリカの5人組とはけっこう交流していたらしい。ジョージにインド思想への関心を植え付けたのはデビッドだったといわれている。

●バーズよりひとあし早く、ボー・ブラメルズがサンフランシスコでフォークロックの原型的なサウンドでデビュー。

●さらにタートルズ、ソニー&シェール、ママス&パパスといったグループやシンガーがフォークロックの隆盛を支える。

●ニューポート・フォーク・フェスティバルで、ボブ・ディランがポール・バターフィールド・ブルース・バンドを従えてステージに立つ。フォークの純潔にこだわる観客たちはブーイングの大合唱を浴びせた。





『Turn! Turn! Turn!』


12s.gJim McGuinn
gDavid Crosby
tam.Gene Clark
bChris Hillman
dMichael Clarke


10月/3枚目のシングル『Turn! Turn! Turn!』をヒットチャートへ送り込む。フォーク界の重鎮ピート・シーガーの作品。間奏のギターソロがイマイチいい加減で詰めの甘さを感じるものの、名曲といってよいレベルにあると思う。今年(99年)NTTがポケベルのCMでBGMに使っていた。

12月/セカンドアルバム『Turn! Turn! Turn!』リリース。ここにフォークロック・スタイルは完全に確立された。その一方、早くもメンバー同士の確執が表面化してきてもいる。





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