1/48 P-47D サンダーボルト(アリイキット)を作りました。

今回は、アリイ(旧大滝)のP-47Dですが、別売りパーツや他キットの余りパーツを流用しつつアップデートを試みることにします。工作にかかる前にアウトラインのチェックということで、長谷川の胴体パーツと合わせてみました。手前が長谷川、奥がアリイです。胴体上部をテープで仮固定して合わせると、下部では長谷川の方がプラの厚み分程度細めになっています。
下ごしらえですが、古いファルコンの真空成形キャノピーセットにアリイP-47D用のものが含まれていたので、使用することにします。例によってFutureワックス処理をしました。以前は乾燥時にプラ板の上に置いておりましたが、今回はティッシュの上に置いてみました。乾燥後にティッシュとくっつくことを恐れていましたがそのようなことはなく、むしろ余分なワックスをティッシュが吸い取ってくれるので具合がいいようです。
ワックスが乾燥後、キャノピーのマスキングをします。いったんキャノピー枠の幅のマスキングテープを枠の上に貼り、これをガイドにマスク材(メタルック)をカットするという、リバースマスキング法を用いました。(画像クリックでマスキング後の姿)
Future第2弾。シートはEduardのエッチングですが、IKEさんによると、Futureはメタルプライマーとしても使えるらしいので、キャノピーのワックス処理と同様、パーツをまるごとつけこみました。
訂正:ここで使ったのは、Futureではなくてリンレイでした。色も乳白色ですね(Futureは乾燥前から透明)。
機首下側面の排気シャッターはキットでは開口されてないので、Eduardのエッチングパーツに置き換えました。
Futureで下ごしらえ済みのキャノピー、シートともども、コックピットをDull Dark Greenで塗りました。コックピットの床と側壁はHi-Techを使います。コックピット背中の部分の壁はプラ板で自作し、長谷川キットを参照しつつエバグリーンのプラストリップで構造材を追加しました。胴体パーツには、コックピットの床を受けるためのプラ棒を接着してあります。後で左右胴体を張り合わせるときに、コックピットの位置を調整しやすいよう、胴体パーツの前方に指がはいるくらいの大きな穴を開けておきました。後で、この穴が他の用途にも役に立ちます。
計器盤は、当初長谷川キットの余りを使用する予定だったのですが紛失してしまったため、しかたなくJaguarのレジンパーツにしました。インジェクションにくらべると、計器の針のモールドがおおざっぱで、しかも各計器がクレーター状の大穴になっています。クリスタルレジンで大穴を埋めてみたら、ご覧のように針がほとんど見えない、とほほな状態になってしまいました。
コックピットを組み込んで胴体を貼り合わせ、計器盤フードをプラ板で自作しました。実機写真を見ると、フードはキャンバス地のように見えますが。エンジンも塗装し、カウリングに組み込みます。昔から、大滝のカウリング形状は定評があるようです。
翼下パイロンのないものにマーキング決定したので、エバグリーンのプラストリップでフェンスを追加しました。右翼は固定タブだけなので、バランスタブのモールドを埋め、左翼にまでモールドされている3箇所の識別灯も埋めておきます。足回りは長谷川のパーツを流用するので(アリイのものはちょっと長すぎるようなので)、脚注取り付け穴を丸から四角に変更しました。
WAVEのH-EYESクリアパーツで翼端灯を透明化しました。Micro-Markから購入したMicro-Meshでみがいたら、コンパウンドを使わなくてもぴかぴかになりました。
ハセガワの主脚柱を流用します。オレオリンクは、エッチングパーツをプラパーツの上に重ね貼りして、厚みを出すとともに固定を確実にしました。エッチングパーツの穴をガイドに、ピンバイスでプラパーツにも貫通穴を開けました。
アリイキットのプロペラは、裏側がえぐれたようになっているので、ポリパテで肉盛りしました。サーフェイサーを重ね塗りしてサンディングし、パテが足りなくてサーフェイサーが残っているところに再度ポリパテを盛ってサンディング、というのを繰り返したら、マーブル状のプロペラになってしまいました。本当は、プラペーパーでも貼り付けた方がよかったのでしょうか?
最近ニチモが売り出したキット付きミニベビーモーターで、プロペラを回します。ここで、機首に開けた大穴が役に立ちます。といっても、そのままでは電池ボックスがコックピットにつっかえるので、モデルアート別冊の記事を思い出して水銀電池用に改造しました。電極金具を切断し、半田付けしなおしています。
ところが、試運転をしてみると、パテ盛りしたプロペラが重たいせいもあるのか、回転が弱々しいのです。そこで、馬力倍増の3.0Vで動作させることにしました。単5電池用ボックスを2個直列につなぎ、電池はコックピットの下(実機でダクト類が縦横にはっている部分)に収納します。胴体が太いP-47だからこそ使える技です。モーターはエンジンパーツの裏側にモーター外径のくぼみを削り込んで接着しました。
やっと十の字になりました。ハセガワキットで苦労した上半角もばっちり決まります。ただ、主翼の前縁が胴体側より厚くなっているので、削り込む必要があります。アリイキットは機銃がちゃんと地面に水平になるよう別パーツで再現していますが、機銃パネルの合いがよくないので、接着後いったん隙間を埋めてパネルラインを彫りなおしました。銃身もテーパーがついているので、すべて切り落とし、後で金属パイプで再現することにします。
プロペラを回転させる予定なので、パイロットを乗せることにしました。ベルト一体成形のレジンではなく、エッチングのシートにしたのはこのためです。パーツボックスから米陸軍パイロットをスカウトしてきました。塗り分けの際には、Ospreyの"Aircraft of the Aces"に出ている当時のパイロットのカラーイラストが参考になりました。ゴーグルにはFutureを流し込みました。当時のカラー写真を見ると、赤枠のゴーグルを着用していたパイロットもいたようで、再現したら面白かったかも。
レザーバック型のP-47には、キャノピー後方に涙滴形のライトがあります。ここで、バルジ大作戦を敢行しました。Eduardのメッキ済みエッチング製涙滴形ライトベースに、透明エポキシを盛り付けます。見事&簡単に涙滴形ライトができました。それにしても、透明エポキシって普通のものに比べてどうしてこんなに臭いのでしょう。臭くない透明エポキシをご存知の方は教えてください。
カウリング先端の塗り分けです。テーパーのついている部分に一定幅でストライプをマスキングするのはそれほど簡単ではありません。以前、トースカンを用いる方法をトライしましたが、あまりうまくいかなかったので、今回は光学的方法を用いました。24インチ幅ということなので、スケール定規でデバイダ(実際はサークルカッター)に1/48サイズの幅をとります。カウリングには機軸方向に何本かパネルラインが走っているので、各ライン上に、真横から見て前縁から24インチのところにデバイダでマーキングし、これらのマークをテープでスムーズにつないでやります。光学的方法、すなわち目見当とも言います。境界は細切りのマスキングテープですが、その他の部分はParafilmを巻きつけてあります。
コードレターと国籍マークも塗装します。デカールをトレースしてマスクシートをサークルカッターと定規で切り出し、白→赤→青の順番で塗っています。胴体の国籍マークと排気シャッターの位置関係があやしげになってしまいました。コードレターも半透明マスクシートですでにマスキングしてあります。
セオリーに反して、先に上面のオリーブドラブから塗りました。(色の隠蔽のしやすさよりも、マスキングのしやすさをとったため。)Mr.カラーのベースに、これよりも明るいSDEカラーのオリーブドラブを重ね、さらに白を加えて明度を上げたものでむらむら塗装しました。不自然にならないように仕上げるのが難しいです。次に、下面の塗装に備えてマスキングします。曲線部はトレーシングペーパーを切り出して、ペーパーボンドで固定しています。縁が少し浮き上がるようにしています。直線部分は、縁を1mmくらい折り返したマスキングテープを使っています。下面を塗装するときに見通せる部分だけマスキングすればよいので、主翼上面などはマスキングしていません。
おおむね成功です。ここまでマーキングが済んでいれば、デカール貼りも楽ですね。
胴体尾部下面のタービンフードを、色見本を兼ねてアルクラッドのPale Burnt Metal で塗ってみました
はんだ線でブレーキラインを追加、止め具はプラスチックテープの細切りです。今回、アクリルガッシュでウオッシングしてみました。
キャノピーをフルオープンしてしまうとせっかく作った水滴型ライトが隠れてしまうので、パイロットが乗り降りできるぎりぎりの位置でキャノピーを固定しました。アンテナ柱付け根の碍子は白い伸ばしプラパイプに金属線を通したもの。ほんとうは、もっとテーパーをつけたかったのですが。コックピット後方のスライドキャノピー内側の色は、当時の写真を見ても機内色と機外色の両方のケースがあるようです。今回は、オリーブドラブに塗ってみました。
"Slender Tender & Tall"です。機銃のブラストチューブはウエーブのメッキ済み金属パイプ。デカール貼り後、油絵の具でスミ入れをし、つや消しクリアに機体色を混ぜたものをオーバースプレーしてマーキングの色調を落ち着かせました。今回は部分的にパステルで汚しもしています。